今回は、高出力ながらもコンパクトなHYDRO GT PRO ATX3.0(PCIe5)1000wの特徴と、電源選びのポイントについて解説します。この電源はHydro GT PRO ATX3,0(PCle5,0)860Wもあり、初心者でも理解しやすいよう電源の選び方や、モジュラーの違い、電源の容量の選び方などを詳しく説明します。Hydro GT PRO850WかHGT-1000Wか自作PCの電源選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。
HYDRO GT PRO 1000W|電源選びで迷ったらコレ!
さて今回は電源です。動画のコメントやツイッターのDMで日々色々な質問が飛んできますけど、自作PCの電源選びってややこしいです。そこで今回は、初心者の方が勘違いしやすい電源選びあるある、を私なりに解説します。
まず最初に「HYDRO GT PRO 1000W」を使ってみた結論からお伝えすると、13世代のCoreアイセブンと4070Tiなら容量はHydro GT PRO850Wでも十分です。将来的にCPUやグラボのアップグレードを考えていて、それを見越して電源容量に余裕を持たせておきたい、ということであれば1000Wを選んだほうがいいかなぁ。
また「HYDRO GT PRO 1000W」のメリット・デメリットを端的に紹介すると、以下の通りとなります。
HYDRO GT PRO 1000Wのメリット2つ
- 電源容量に余裕がある
- 小さめのケースでも扱いやすい
HYDRO GT PRO 1000Wのデメリット2つ
- 初心者が勘違いしやすい電源
- 電源の奥行きが長いとケーブル処理が難しい
HYDRO GT PRO 1000Wの価格
HYDRO GT PRO 1000Wの価格は、22,550円(税込)です。(2024年1月6日時点)
HYDRO GT PRO 1000W実際の消費電力の検証
まずはこちらから。1000Wの電源とか月々の電気代やばいっしょ? のようなコメントをたまに見かけますが、これは間違いです。電源容量と実際の消費電力は完全に別物で、電源容量はあくまで電源の最大出力を表しているもので、消費電力はPCのスペックや使い方によって大きく変動します。
実際にパソコンの消費電力をワットチェッカーで見てみましょうか。今回検証のために用意したPCのスペックはこんな感じ。CPUはBIOSで電力制限を解除済み。それと電源はFSPのHydro GT PRO APX3.0 1000Wに対応した最新モデルを使っています。
消費電力の実測値
まずはPCを起動しただけの状態。消費電力は60から80Wくらいって感じ。シネベンチR23のマルチコアを回してみると、だいたい350Wくらいかな。CPUの消費電力を65Wに制限してみると、ここまで下がります。映画館ではグラボがほとんど動きませんからね。
ゲーム時の消費電力
続いてFF15のベンチマークソフトを4Kの高品質で回してみると、消費電力は400W近くまで上がりました。13世代のCoreアイセブンと4070Tiを積んでいても、実際の消費電力はこの程度です。RTX40シリーズの消費電力が控えめというのもありますけど、容量の大きい電源を選んだからといって、それだけで消費電力が増えるというわけではない、という点は覚えておいてくださいね。
ぶっちゃけ今回のパーツ構成だと、電源容量は1000Wも必要なくて、Hydro GP PRO 850Wとか750WくらいでもOKです。
HYDRO GT PRO 1000W電源の容量選びと消費電力の関係
続いてはこちら。電源の容量を選ぶときは、消費電力の2倍ではないとダメなんです。というコメントをインターネット上でたびたび見かけます。これは間違いではないけど、2倍を下回っていても実はまったく問題ないんです。消費電力の2倍を目安に選ぶといわれる理由は、ATプラス認証の変換効率が関わっていると思われます。
電源の負荷率と変換効率の関係
グレードごとの変換効率をまとめるとこんな感じで、多少差はあるとはいえ、電源の負荷率50%のときが最も変換効率が高くなってますよね。電源の負荷率が高くなると変換効率が落ちて発熱しやすくなったり、内部パーツを冷やすために内蔵されてるファンもフル回転して、騒音の増加やファンの寿命を削ることにもつながります。
消費電力の2倍を目安に電源を選ぶ理由
つまり消費電力の2倍を目安に電源を選ぶと、変換効率が最も高くなるため、無駄な電力消費や発熱を最小限に抑えられて、必要以上に寿命を削ってしまう心配もない、ということです。とはいえ先ほどご覧いただいた通り、PCの消費電力は使い方によってかなり変動しますし、どれだけ大切に使ってても運が悪いと突然壊れちゃったりしますから、あくまで理論上の話ですけどね。
電源容量選びの実用上の考慮点
2倍を目安に選んでおけば間違いなく安心、というのは事実ですけど、1.5倍くらいでも実用上の問題は特になかったりします。これだけ消費電力の2倍振興が浸透しているのは、単価が高めの電源を売りたい、というPCショップ側の事情も絡んでるんではないかな。以前、450Wの低容量電源でゲームを動かすとどうなるのかを検証して動画にまとめているので、気になる方は後でご覧ください。
ATプラス認証のグレードと電源の品質
では次のテーマに行きましょう。電源がブロンズとかクソでしょ? のようなコメントをたまに見かけますけど、これも勘違いかな。先ほどご覧いただいた通り、ATプラス認証のグレードって変換効率を表すものでしかないんです。ブロンズだから電源の品質が低い、プラチナだから品質が素晴らしい、というわけではないんです。
ただ実際のところ、ATプラス認証で上位グレードの電源は、高品質な内部パーツを搭載していることが多いんですけど、あくまで別軸で考える必要があります。以前、ブロンズよりグレードの低いスタンダードの電源でサブPCを運用してたんですが、なんのトラブルもなく普通に動いていました。
電源の品質判断のポイント
じゃあどこを見て電源の品質を判断すればいいの?と気になる方もいそうですが、例えば今回使用している電源だと、この辺が品質につながるポイントかな?が、私が今まで触った電源では、少し押さえる力が強いとケーブルが歪むというところがありました。
HYDRO GT PRO 1000W電源の故障と保護回路の重要性
続いてこちら。この点に関しては、私自身壊れた経験がないのでよくわからん、というのが本音です。ただインターネットで調べてみると、確かに電源の故障が原因でマザーボードやCPUまでいってしまった、という事例があるのは事実のようです。
あとは正直細かいポイントになりますが、セミファンレスの機能に否定的な方がちょこちょこいるみたいです。セミファンレスというのは電源の負荷が低い時にファンの回転を止める仕組みで、最近のいい電源にはだいたい搭載されている気がします。
HYDRO GT PRO 1000Wのセミファンレス機能
今回使用しているハイドロGTプロもセミファンディスクで、消費電力が400Wに近づくとファンが回り始めて、負荷率が低いとファンは一切回らない仕組みです。ファンのオンとオフが切り替わっても音はほとんど聞こえませんし、私はセミファンディスクで使うつもり。
ちなみにここのスイッチでセミファンディスの機能をオフにすることもできて、常時ファンを回転させることもできます。私が今まで触ったことのある電源はどれも静かでしたけど、セミファンディスク機能があってもスイッチで切り替えられる電源なら心配はいらないと思いますよ。
16ピンケーブルの特性と評価
続いて最近出てきた16ピンのケーブルについて。しっかりと刺せば心配いりませんが、私が今まで触った電源では、少し押さえる力が強いとケーブルが歪むというところがありました。4090が出てきたときに発火するとかいろいろ騒がれましたけど、結局は接続不良が原因だったとかで、最近はぱったりと話題に上がらなくなりましたよね。
ハイドロGTプロの16ピンケーブルの特徴
私は別の電源でも16ピンのケーブルを使っていますが、トラブルは一切なし。このハイドロGTプロに関しては、16ピンのケーブルだけやけに太くて硬いんですけど、ここ、小さい4ピンのケーブルが長めに作られているんです。ケースの中でケーブルを曲げたときも小さい4ピン部分が抜けにくい構造になっていて、さすがFSPって感じ。
16ピンケーブルの利便性と安全性
16ピンケーブルを必要とするグラボはまだまだ少ないですけど、変換アダプターで8ピンケーブルを複数刺すより断然すっきりするので、私は積極的に使っていきたい派です。特に今回使ってるマイクロATXのケースだと、グラボが大きいこともあってケーブルのスペースに余裕がないので、ケーブル1本で完結する16ピンは便利。燃えるとか燃えないとかは、適切に使っている限り心配する必要ないと思いますよ。
フルモジュラーとセミモジュラーの違いと評価
最後にフルモジュラーかどうかという点について。フルモジュラーというのはケーブルが全て取り外せるタイプの電源のことで、今回使用しているハイドロGTプロは一部が直出しになっているセミモジュラーというタイプ。このあたりに関しては完全に好みの問題で、フルモジュラーだからいいとか、直出しだからダメってことは一切ないです。
ケーブルの取り扱いと電源の収納について
フルモジュラーはケーブルを取り付けるのが面倒ですし、価格も高め、かといって全て直出しだと電源の収納スペースが使わないケーブルでごちゃつきます。セミモジュラーはその間に立つ存在ですが、直出しにするのは24ピンとCPU用補助電源だけでよかったんではないかな。
今回みたいに4070Tiで使用する場合、PCIeの補助電源は使わないこともありますからね。電源スペースへの収納しやすさを考えるなら、ケーブルの出し方よりも電源の寸法を気にしたほうがいいと思ってます。最近のケースは電源スペースに3.5インチのシャドーベイを搭載しているものも多いので、電源の奥行きが長いとケーブルの処理が本当に大変です。
HYDRO GT PRO 1000W ATX3.0 PCIe5電源選びのポイント
今回のHYDRO GT PRO 1000Wという高出力にもかかわらず奥行きが150ミリしかないので、小さめのケースでも扱いやすいです。
ということで今回は、初心者の方が勘違いしやすい電源選びあるある、についてざっくりと解説しました。最後に一度要点をおさらいしておきましょうか。フルモジュラーとセミモジュラーの違いを理解し、好みに合わせて選ぶことが大切です。また、電源の寸法を気にして、収納スペースに余裕があるかを確認することが重要です。電源選びで迷ったときは、FSPのような有名メーカーの製品を選んでおけば大きな失敗はないと思ってます。
まとめ
予算や用途はもちろん、将来的なことも見越して選ぶことが大切です。PCやE5.0に対応したハイスペ電源はもちろん、エントリーからミドルスペックで使いやすい電源もたくさんあるので、自作PCを組むときはぜひFSPをチェックしてみてくださいね。
気になった人はぜひチェックしてみてください。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
FSP 80PLUS GOLD認証・セミモジュラー方式 ATX3.0規格 PCIe5.0対応1000W電源 [ HYDRO GT PRO 1000W ATX3.0 PCIe5 ]