Duet2が生産完了になり、2021年8月25日に日本で発売された注目のオーディオインターフェース、Apogee Duet 3の音質・徹底レビューをお届けします。約2週間の使用経験をもとに、カタログスペックやメーカー主体のレビューとは違う実際の使い方をお伝えします。Apogee信者にはたまらない魅力や、ループバック機能・モバイル機としての利便性、そしてDSP搭載によるFXセクションの限定的な機能など、Duet 3の真価を徹底解説します。
Apogee Duet 3レビュー|OSボリュームコントロールができる

本日は2021年8月25日に日本国内で発売された注目のオーディオインターフェース、Apogee Duet 3のレビューをやっていきたいと思います。
まず最初にApogee Duet3を使ってみた結論からお伝えすると、唯一、同価格帯の製品にない、そしていいなと思った機能は、OSボリュームコントロールです。
これ、僕は好きです。これができる製品はそこまで多くないので、この特徴を有効活用できる人にとっては、非常に魅力的な一台に感じられるのではないでしょうか。
また、Apogee Duet3のメリット・デメリットを端的に紹介すると、以下の通りとなります。
Apogee Duet3のメリット2つ
- 外観がカッコ良い
- 本体が軽い
Apogee Duet3のデメリット2つ
- 操作性が良くない部分がある
- コントロールソフトにリバーブが付いていない
Apogee Duet3の価格

Apogee Duet3の価格は、99,000円(税込)です。(2023年10月31日時点)
Apogee Duet3|2週間の試用期間
約2週間かなりがっつり使い込みました。そこまで多機能な製品ではないので、製品の特徴を十分につかめたかなと思います。
この製品、カタログスペックやメーカーや代理店主体のレビューから受ける印象と実際使ってみた印象が違うなと僕は感じました。
Apogee Duet3のデザインと重量感

まずは外観について。非常にかっこいいです。事前に出回ってた製品写真の通りです。実物を見てみると思ったよりもチープだったなんてことは全くありません。嬉しい誤算は重量感のあるデザインの割に本体が非常に軽いことです。
本体だけで約340g。ブレーカウトケーブルと合わせると約620g。ちなみにRMEのBabyface Pro FSは本体だけで680g。UNIVERSAL AUDIOのApollo soloに関しては630gあるそうです。比較してもかなり軽い部類の製品ではあるんですけれども、相対的な感覚以上に絶対的な感覚が見た目より軽く感じるのは良いなと思いました。
軽量でスリム
僕はApogee DuetもDuet2も触ったことがあるのですが、それらに関しては無駄に重いなと感じたんです。薄型のデザインと相まって、カバンの内ポケットに忍ばせて持ち歩ける。そんな良さがあると思います。
Apogee Duet3の使い方について

続いてApogee Duet3の使い方について、大型のノブは回すとクリック感が返ってきます。これは操作性が非常に良いです。インプット1、インプット2を結合して1チャンネル出力するステレオリンク機能を搭載しています。
ノブの不便さ
非常に上品な仕上がりで触ってて気持ちいいです。そして、使い方は正直言ってあまりよくありません。ノブをプッシュすることで、インプット1、インプット2、スピーカー、ヘッドホンとチャンネルを切り替えてゲインコントロールとボリュームコントロールすることができるのですが、ノブのプッシュにやや力が必要かなと感じました。
チャンネル切り替えの手間
そして一方向にしかチャンネルを送っていくことができないので、チャンネルを行き来するのにものすごく手間がかかります。ノブを一定時間押しっぱなしにすると、スピーカーのチャンネル、ヘッドホンのチャンネルに関してはそれぞれの出力をミュートすることができるのですが、操作を認識するまでに必要とする時間が長いなと感じました。
インプット操作の不便さ
また、インプット1、インプット2ではノブのプッシュで操作できるコマンドがないのも不便です。インプット1、インプット2でもミュートとかファンタム電源のオンオフくらいはノブのプッシュ操作でできればいいのになと思いました。ファームウェアのアップデートで何とか改善してもらえないかなと願うところです。
Apogee Duet3アプリの特徴

ここからは専用のコントロールアプリ、Apogee Control 2を見ながらお話ししていきます。スピーカーアウトとヘッドホンアウトが完全に独立していて、それぞれに好きなソースを選択し、個別に音量調整ができるのが特徴です。
視認性の高さとOSボリュームコントロール

メーターや数値の視認性が非常に高く、情報が読み取りやすく、見やすいなと感じます。好みが分かれるところかもしれませんが、DUET 3はOSのボリュームコントロールを活用することができます。キーボードのファンクションキーなどの音量調整ボタンでOSボリュームコントロールの項目で選択した出力の音量を調整することができます。
使い方向上の提案
先ほど操作性について苦言を呈しましたが、本体のノブはヘッドホン出力の調整用と割り切って、スピーカー出力はOSのボリュームコントロールで調整すると、そんなふうに役割を分担すると使いやすくなり、かなり操作性が向上するのではないかなと思いました。
Apogee Duet3のループバック機能とインプットチャンネル

Duet3はループバック機能を搭載しています。
アプリケーションからのオーディオ出力と、マイクの入力信号をミックスし、再度アプリケーションにミックスした信号を送ることが可能です。
また、インプットチャンネルの機能については、48Vファンタム電源の供給と位相反転のスイッチに加えて、インプット1、インプット2のゲインコントロールをグループ化するグループ機能と、インプット1、インプット2を結合して1チャンネル出力するステレオリンク機能を搭載しています。
Apogee Duet3の拡張機能
機能的には本体を拡張してくれるもので、 主な機能は、 ファンタム電源を拡張するためのXLR端子、 ヘッドフォン端子、さらにはUSB-C端子が搭載されています。アナログライクなリミッティングが可能なソフトリミット機能が搭載されています。どちらも便利だなと感じました。
FXセクションの概要

続いてFXセクションについてご紹介します。DUET 3には新たにDSPが搭載されました。大きなトピックの一つで、気になっている方も多いのではないかなと思います。
DSPの専用性と限定的なFX機能
結論から言いますと、現状Duet 3に搭載されているDSPは、付属するECSチャンネルストリップというソフトを動かすためだけの専用のものだと考えていいでしょう。その他のApogee FXに関しては、Duet 3で動作させることができません。
利便性の向上というよりは、Apogee FXのエコシステムにユーザーを取り込むための巻き絵のような意味合いが強いのではないかなと僕は感じました。
Apogee Duet3マニュアルとMacユーザーへの安心感

続いて動作の安定性について、Apple Silicon Mac、そしてAMDプロセッサ搭載のWindows 10マシン、さらにはiPadOS搭載のiPad Airで動作を確認しましたが、今のところ不安定さは感じません。
ApogeeはAppleとの関係性が非常に深く、マニュアルにApple製品の写真を使った接続方法の説明が記載されています。これは他のメーカーの製品ではなかなか見ることができないもので、特にMacユーザーにとっては大きな安心材料となるでしょう。
Apogee Duet3 driverについて
Apogee Duet3の専用アップデータとしてApogee Control 2 + Duet 3 Firmware update May, 2022(バージョン 1.20.76)がリリースされました。これにより、macOSおよびWindows環境での安定性の向上が見込まれます。
Windows用の最新Thesycon driverは、セーフモード がデフォルトでオンになり、バッファサイズの設定が順当な範囲になりました。
ブレイクアウトケーブルとDuetドック
続いて、ブレイクアウトケーブルと発売を控えるDuetドックについて、ブレイクアウトケーブルの長さは、本体接続部からケーブル分岐点までが約1m、そして分岐してからが約50cm。これだけ長さがあると、デスクの外でケーブルを自分好みのセッティングに合わせてまとめることができるので、他のデスクトップ型オーディオインターフェイスではできない柔軟なデスクセッティングが可能です。本体を手元にぐっと近づけることも簡単です。
Duetドックの機能
9月中に入荷が見込まれている専用のアクセサリー、Duetドックについて、機能的には本体を拡張してくれるもので、主な機能は、ファンタム電源を拡張するためのXLR端子、ヘッドフォン端子、さらにはUSB-C端子が搭載されています。
今まで使っていたUniversal AudioのApollo 8と比べると、 ApogeeのDuet 3の方が、 音の重さがないなと感じました。
Duetドックの運用方法
自宅にDuetドックを据え置きして、自宅でこのDuet 3を使うときには、ドックに接続し、持ち出すときにはドックから取り外して、ブレイクアウトケーブルと共に運用すると。そういうような提案が多く見られるのですが、僕が使うなら、逆ではないかなと今のところ感じています。Duetドック、購入は済んでいますので、製品が手元に届いたら、レビューしていきたいなと考えています。
Apogee Duet3の音質評価の考え方

音質の評価に関しては、非常に主観的なものになりますので、フラッグシップ機以外のオーディオインターフェイスに関する音質の評価は、製品の価値を判断する上で、最後に回すべきだなと僕は考えています。
出力音質の印象
出力音質について、Apogeeらしいサウンドはしっかりと踏襲されてるなと感じました。非常に分離感があって、音の立ち上がりが早いという印象です。クリア系に分類される音質だとは思いますけれども、同価格帯で比較対象になりそうな製品をリリースしている、RMEやアンテロープやMOTUなどと比べると、個性的かなと感じました。よりエネルギッシュな印象を僕は受けました。
Duet 3の音質について
とにかく僕は、今メインで使っているUniversal AudioのApolloのサウンドキャラクターにずっと不満を抱いていて、Apolloと比べると、僕はDuet 3の音の方が好みだなと思うのですが、少し耳を鳴らす必要はあるかなと思いました。
リバーブの減衰と立ち上がり
ApolloからDuet 3に切り替えた時に、リバーブの減衰が手に取るように分かると感じたのが印象に残っていて、立ち上がりが早く、分離がいいという特徴のおかげか、音量を少し下げてモニタリングすることができるかもと思いました。
Apogeeの上位機種やDuet 2と比べて厳密にどうかは、僕持っていないので同時に聞き比べることはできないのですが、Apogeeらしいサウンドキャラクターはしっかり持っていると思います。
Apogee Duet3の入力音質の比較
続いて入力音質について、僕自身はボーカルとアコースティックギターの録音をすることが多いのですが、取り込める音質には不満はないものの、今まで使っていたUniversal AudioのApollo 8と比べると、ApogeeのDuet 3の方が、音の重さがないなと感じました。
コントロールソフトにリバーブがついていないので、歌を録る上ではそこは大きなデメリットだなとも感じました。
録り音って急速に加工していくものですし、この価格帯のオーディオインターフェースなら普通に録ることができればいいのではないかなと僕は思っています。このDuet 3は普通に録れます。
Logic Proとの連携機能
最後にLogic Proとの連携機能について、先ほども言ったようにApogeeはAppleとすごく関係性が深いので、Logic Proのミキサーセクションからオーディオインターフェースの設定を操作できるという連携機能があります。
Duet 3に関しては、現状Logic Proのミキサーセクションから操作できるのは、インプットのゲインコントロールのみです。これはすごく残念だなと思います。
Apogee Duet 3のおすすめポイント
こちらのApogee Duet 3、どのような人におすすめか。
- お金に余裕のあるApogee信者の皆さんの所有欲を非常に満たしてくれる
- 外出先や移動時の音楽制作で使えるモバイル機を探している
上記のような方におすすめです。
また、DACにいざという時の録音機能がついている。そんなふうに捉えると、なかなかいい機材だなと思いました。
手頃な価格の最新のApogee製品ですし、今後上位機種を購入した際にもサブ機に回せるので、いいのではないかなと思います。
メインのオーディオインターフェース探し

幅広い選択肢の中からメインのオーディオインターフェースを探しているという方には全くお勧めできません。Apogeeサウンドに強いこだわりがないのであれば、もっと満足度の高い製品というのはたくさんありますが、買おうかどうしようか、悩む製品ではないなと思います。
記事の下部に購入ページのリンクを貼ってますので、もし「よし、俺は買うぞ」と思った方は、そちらから購入していただけると嬉しいです。中古品も出回っているのでそちらもぜひチェックしてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Apogee オーディオインターフェース Duet 3 Mac & Windows対応 24bit/96kHz ハードウェアDSP搭載 USB Type-C/Type-Aに対応
